116 皮膚から吸収されることで中毒症状を引き起こす物質はどれか。1つ選べ。
1 ベンゼン
2 有機リン
3 アスベスト
4 一酸化炭素
5 メタノール
解答 2又は5
【AIによる解説】
第116問は、毒劇物の吸収経路(経皮吸収)に関する問題です。多くの化学物質は吸入(呼吸器)や経口(消化器)から吸収されますが、一部の物質は皮膚に付着するだけで体内に浸透し、重篤な中毒症状を引き起こします。
※本問は正解が「2」と「5」の複数存在すると判断される問題です。
解説:経皮吸収される有害物質
正解は 2(有機リン) および 5(メタノール) です。
2 有機リン:
殺虫剤や農薬として使われます。脂溶性が高く、皮膚から容易に吸収されます。体内のコリンエステラーゼを阻害し、縮瞳、多汗、失禁、徐脈、呼吸困難などの「コリン作動性クライシス」を引き起こします。現場活動では、隊員の二次被害(経皮接触)を防ぐための防護服着用が不可欠です。
5 メタノール:
燃料や溶剤として使われます。これも皮膚から吸収される性質があり、体内でホルムアルデヒドやギ酸に代謝されることで、失明(視神経障害)や重篤な代謝性アシドーシスを引き起こします。
他の選択肢の分析
1 ベンゼン:
揮発性が非常に高く、主な吸収経路は「吸入(呼吸器)」です。皮膚からもわずかに吸収されますが、急性中毒の主な原因は蒸気の吸入による中枢神経抑制です。
3 アスベスト(石綿):
微細な繊維であり、「吸入」することで肺に沈着し、数十年後に肺がんや中皮腫を引き起こします。皮膚に付着しても中毒症状は起こしません。
4 一酸化炭素:
「吸入」によりヘモグロビンと結合して低酸素症を引き起こします。皮膚から吸収されることはありません。
救急救命士としての臨床的視点:除染の重要性
皮膚から吸収される物質による中毒が疑われる現場では、以下の対応が極めて重要です。
隊員の安全確保(二次災害防止):
有機リンなどは触れるだけで隊員も中毒になります。必ず化学防護手袋や着衣を装備します。
着衣の脱衣と洗浄(除染):
現場でできる最も効果的な処置は、汚染された衣服を速やかに脱がせ、大量の水で皮膚を洗浄することです。これにより、それ以上の吸収を食い止めます。
吸収経路の特定:
傷病者が「何を、どのように浴びたか(吸ったか、飲んだか、触れたか)」を特定し、その情報を医療機関へ迅速に引き継ぎます。
有機リンやメタノールのように「触れるだけで毒になる」物質の存在を知っておくことは、自分自身の身を守るためにも必須の知識です。
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