2025年12月24日水曜日

第48回A問題 第117問 放射線が人体に及ぼす影響(放射線感受性)に関する問題

第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

117 放射線感受性が高い臓器はどれか。1つ選べ。

1 脳

2 心臓

3 骨髄

4 大動脈

5 骨格筋


解答 3


【AIによる解説】


第117問は、放射線が人体に及ぼす影響(放射線感受性)に関する問題です。体の組織や臓器によって、放射線のダメージを受けやすいものと受けにくいものがあることを理解する必要があります。


解説:ベルゴニー・トリボンドーの法則

正解は3です。

放射線に対する感受性(ダメージの受けやすさ)には法則があり、一般に「細胞分裂が盛んなものほど感受性が高い」とされています(ベルゴニー・トリボンドーの法則)。

  • 3 骨髄(こつずい):

    骨髄は常に新しい血球(赤血球、白血球、血小板)を作り出すために、極めて活発に細胞分裂を繰り返しています。そのため、全身に放射線を浴びた際、最も早く、かつ顕著にダメージを受ける組織の一つです。

    • 骨髄が損傷すると、免疫力の低下(白血球減少)や出血傾向(血小板減少)、貧血が起こります。


他の選択肢の分析(放射線感受性が低い組織)

  • 1 脳、2 心臓、5 骨格筋:

    これらを構成する細胞(神経細胞や筋細胞)は、成人ではほとんど細胞分裂を行いません。そのため、放射線に対する抵抗力が非常に強く、「低感受性」の組織に分類されます。

  • 4 大動脈:

    血管も骨髄や消化器に比べれば細胞分裂が緩やかであり、感受性は低めです。


放射線感受性の高い順序(代表例)

感受性が高い順に並べると以下のようになります:

  1. 非常に高い: 骨髄、リンパ組織、生殖腺(精巣・卵巣)、小腸の粘膜

  2. 中程度: 皮膚、眼の水晶体、胃、肝臓

  3. 低い: 筋肉、骨、軟骨、神経組織(脳・脊髄)


救急救命士としての臨床的視点:放射線事故の対応

放射線事故(被ばく事案)の現場では、目に見えないリスクを管理する必要があります。

  1. 距離・時間・遮蔽:

    放射線源から離れる、現場に留まる時間を短くする、壁などの後ろに隠れる、という「防護の3原則」を徹底します。

  2. 除染(汚染の除去):

    放射性物質が体に付着している(汚染)場合は、衣服を脱がせ、洗浄することで周囲や医療機関への汚染拡大を防ぎます。

  3. 急性放射線症の予測:

    大量の放射線を浴びた場合、初期症状として吐き気や嘔吐(放射線宿酔)が現れます。その後、感受性の高い骨髄の抑制が進むことで、感染症などの重篤な合併症が起こることを念頭に置いて活動します。

「分裂が盛んな場所ほど放射線に弱い」という原則を覚えておくと、骨髄や生殖腺、消化器といった臓器がなぜ真っ先に影響を受けるのかが理解しやすくなります。


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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。