83 穿通枝の閉塞によって生じる脳梗塞はどれか。1つ選べ。
1 ラクナ梗塞
2 心原性脳塞栓
3 静脈洞血栓症
4 一過性脳虚血発作
5 アテローム血栓性脳梗塞
解答 1
【AIによる解説】
第83問は、脳梗塞の分類と発症メカニズムに関する問題です。脳梗塞はその原因や詰まる血管の太さによって呼び名が変わりますが、「穿通枝(せんつうし)」というキーワードを理解することが正解への鍵となります。
解説:ラクナ梗塞と穿通枝の閉塞
正解は1です。
ラクナ梗塞は、脳の深い部分に向かって枝分かれしている非常に細い血管である穿通枝(せんつうし)が、高血圧などの影響で詰まることで起こる脳梗塞です。
病態: 主に長年の高血圧によって、細い血管の壁が厚くなったり脆くなったりして閉塞します。「ラクナ」とはラテン語で「小さな窪み」を意味し、その名の通り梗塞の範囲は直径1.5cm未満と非常に小さいのが特徴です。
症状: 意識障害はほとんどなく、片側の軽い麻痺や、ろれつが回らなくなるなどの比較的軽い症状から始まります。しかし、繰り返すことで認知症や歩行障害(多発性脳梗塞)の原因にもなります。
他の選択肢の分析(異なる発症機序)
2 心原性脳塞栓症:
心房細動などの不整脈により心臓内にできた血栓(血の塊)が剥がれ、脳の太い血管に流れていって詰まるものです。太い血管が突然詰まるため、広範囲の梗塞になりやすく、重症化しやすいのが特徴です。
3 静脈洞血栓症:
脳の血液が戻っていく通り道である「静脈」が詰まる稀な疾患です。動脈が詰まる通常の脳梗塞とは機序が異なります。
4 一過性脳虚血発作(TIA):
脳の血管が一時的に詰まりかけるものの、24時間以内(多くは数分から1時間以内)に症状が完全に消失する状態です。「脳梗塞の前触れ」として極めて重要です。
5 アテローム血栓性脳梗塞:
頸動脈などの比較的太い動脈の壁にコレステロールが溜まり(動脈硬化)、そこでできた血栓が血管を塞ぐ、あるいは剥がれて先に飛んでいくことで起こります。生活習慣病との関連が非常に深いです。
救急救命士としての臨床的視点
現場で脳卒中を疑う傷病者に接触した際、以下のポイントを意識して観察・聴取を行います。
発症の経緯: 心原性脳塞栓症は「突然」発症しますが、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞は、段階的に症状が進んだり、夜間や早朝に発症して目が覚めた時に気づいたりすることが多いです。
既往歴の確認: 高血圧があればラクナ梗塞、心房細動があれば心原性脳塞栓症のリスクを強く考慮します。
意識レベル: ラクナ梗塞は意識がはっきりしていることが多いのに対し、太い血管が詰まる塞栓症やアテローム性では、JCSが2桁以上になるなどの重い意識障害を伴う頻度が高くなります。
どのタイプの脳梗塞であっても、発症時刻(Last Known Well)を特定し、t-PA療法や血栓回収療法が可能な医療機関へ迅速に搬送することが最優先です。
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