2026年1月4日日曜日

第48回A問題 第49問「心不全の症候と病態生理」について

第48回救急救命士国家試験A問題はこちら

49 心不全の症候で低心拍出量により生じるのはどれか。1つ選べ。

1 喘鳴

2 水泡音

3 肝腫大

4 四肢冷感

5 頸静脈怒


解答 4  11版P.460


【救命士王による回答】

 心不全による呼吸苦等は、救急隊としての活動を最も試させられる症例の一つ。

 起坐呼吸・下肢浮腫・呼吸音の聴取等をキーワードにヤバイスイッチを入れて活動する。

 とにかく酸素。SpO2の低下、測定不能等であり換気量が少ないと判断すれば躊躇なくBVM換気を継続する。換気量が多い場合はリザーバーの膨らみを確認して足りないようであれば15リットルで酸素投与を継続する。

 プロトコールにも記載があるかもれないが、座位を保持。仰臥位にした瞬間CPAに移行してしまうので注意。

 早朝の呼吸苦といったら心不全の増悪を念頭に入れて活動する。



【AIによる回答】


第49問「心不全の症候と病態生理」について、前方不全と後方不全の概念を整理しながら詳しく解説します。


簡易解説

正解は4です。

心不全の症状は、血液を送り出せない「前方不全」と、血液が停滞する「後方不全」に大別されます。低心拍出量(前方不全)が生じると、生命維持に重要な臓器へ血流を優先させるため、末梢である皮膚の血管が収縮し、四肢冷感やチアノーゼが現れます。他の1・2(左心不全による肺うっ血)や3・5(右心不全による静脈系うっ血)は、いずれも血液の停滞(後方不全)によって生じる症候です。


詳細解説

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身の組織が正常に機能するために必要な血液量を送り出せなくなった状態を指します。その症候は「どちら側の心機能が落ちているか」と「送り出せないのか(前方不全)、渋滞しているのか(後方不全)」の組み合わせで理解することが重要です。

1. 前方不全(低心拍出量症候群)の病態

心臓から送り出される血液量(心拍出量)が減少することを「前方不全」と呼びます。

血液量が減ると、生体は血圧を維持しようとして交感神経を活性化させます。その結果、末梢血管が収縮し、血液を脳や心臓などの重要臓器へ集中させようとします。このとき、後回しにされた手足などの末梢組織では血流が不足するため、四肢冷感、チアノーゼ、倦怠感、尿量減少(腎血流低下)、意識障害などが生じます。これが本問の正解の根拠となります。

2. 他の選択肢(後方不全)の解説

血液が送り出せないことで、心臓の手前側で血液が渋滞(うっ血)する状態を「後方不全」と呼びます。

  • 左心系の後方不全(左心不全):

    左心室が血液をさばききれないと、肺からの血液が滞り、肺静脈圧が上昇します。これにより毛細血管から水分が漏れ出し、肺水腫や胸水が生じます。

    • 選択肢1(喘鳴): 肺うっ血により気道粘膜が浮腫を起こし、喘息のような音(心臓喘息)が聞こえます。

    • 選択肢2(水泡音): 肺胞内に液体が貯留した状態で呼吸をすると、吸気時にパチパチという細かい湿性ラ音(水泡音)が聴取されます。

  • 右心系の後方不全(右心不全):

    右心室が血液をさばききれないと、全身から戻ってくる静脈血が滞り、静脈圧が上昇します。

    • 選択肢3(肝腫大): 肝静脈から血液が逆流し、肝臓に血液が充満して腫れ上がります。進行すると「肝硬変」のような病態を呈することもあります。

    • 選択肢5(頸静脈怒張): 全身の静脈圧上昇が目に見える形で現れる代表的なサインです。臥位だけでなく坐位でも頸静脈が膨らんで見えます。

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3. 救急救命士としての臨床的意義

救急現場において、心不全が疑われる傷病者の評価には「Forrester(フォレスター)分類」の考え方が応用されます。

「肺うっ血(湿っているか、乾いているか)」と「末梢循環不全(温かいか、冷たいか)」の2軸で評価します。本問の「低心拍出量による四肢冷感」がある状態は、この分類において予後が悪い「Cold(冷たい)」群に該当します。

救急救命士は、呼吸困難(肺うっ血サイン)だけでなく、皮膚の触診によって末梢灌流の状態を把握し、血圧低下を伴う「心原性ショック」への移行を早期に察知して、迅速な酸素投与や医療機関への連絡を行う必要があります。

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プロフィール

  某政令指定都市 指導救命士 指導係長を経て救命士王となる。