18 乳酸リンゲル液を投与する主たる目的はどれか。1つ選べ。
1 栄養の補給
2 乳酸の補充
3 血糖値の上昇
4 血管内容量の増加
5 アルカローシスの補正
解答 4
【AIによる解説】
第18問は、救急現場で使用される代表的な輸液剤である乳酸リンゲル液の薬理作用と目的に関する問題です。救急救命士が特定行為として行う「静脈路確保および輸液」の意義を問う重要な内容です。
解説:乳酸リンゲル液の目的
正解は4(血管内容量の増加)です。
4 血管内容量の増加:
乳酸リンゲル液は、人間の細胞外液(血液や組織間液)とほぼ等しい電解質成分を持つ等張電解質輸液です。
大量出血や脱水により血圧が低下した(循環血液量減少性ショック)傷病者に対し、一時的に血管の中のボリュームを増やし、血圧を維持して主要臓器への血流を確保することが最大の目的です。
投与された輸液は血管内にとどまるだけでなく、組織間にも分布するため、体液全体の補充に役立ちます。
他の選択肢の分析
1 栄養の補給:
乳酸リンゲル液には糖分(カロリー)やアミノ酸などは含まれていません。栄養補給を目的とする場合は、高カロリー輸液などが用いられます。
2 乳酸の補充:
乳酸リンゲル液には乳酸が含まれていますが、これは「乳酸を体に足すため」ではなく、体内で代謝されて重炭酸イオン($HCO_3^-$)になり、血液の酸性度を調整するための「アルカリ化剤」として機能させるためです。
3 血糖値の上昇:
乳酸リンゲル液にはブドウ糖が含まれていないため、血糖値は上がりません。低血糖の治療には「ブドウ糖液」を用います。
5 アルカローシスの補正:
乳酸リンゲル液は体内でアルカリとして働くため、むしろ「アシドーシス(体が酸性に傾いた状態)」の補正に用いられます。アルカローシスの時に使うと、さらにアルカリ化を助長してしまうため不適切です。
救急救命士としての臨床的視点:輸液の限界と意義
現場での輸液活動において、以下の点を理解しておく必要があります。
「繋ぎ」の処置:
輸液はあくまで根本的な止血や治療ではありません。出血している場合、輸液で血圧を上げすぎると、かえって止血を困難にすること(Dilutional coagulopathy:希釈性凝固障害)もあるため、適切な血圧目標(低血圧許容)を意識することがあります。
細胞外液の選択:
救急現場では乳酸リンゲル液のほかに、酢酸リンゲル液や生理食塩水が用いられます。これらはすべて「血管内容量を増やす」という目的は共通していますが、肝機能障害がある場合は乳酸の代謝が遅れるため、酢酸リンゲル液が好まれるといった使い分けがあります。
加温輸液の重要性:
外傷による出血性ショックの傷病者に冷たい輸液を大量投与すると、低体温を招き、凝固機能をさらに悪化させます。可能な限り加温して投与することが推奨されます。
まとめ:
「救急現場での輸液 = 血液(ボリューム)の代わり。目的は血管内容量の維持(血圧確保)」と直結させて覚えておきましょう。
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